※平行ニコルの顕微鏡写真:全て偏光の振動方向は画像の左右方向(⇔)

白榴石(リューサイト) leucite KAl(Si2O6)  [戻る

正方晶系 一軸性(+),ω=1.507〜1.508 ε=1.509〜1.510 ε-ω=0.002前後
※干渉色は長石類やネフェリンよりも低く,1次の灰色程度。屈折率もかなり低いので,平行ニコルで割れ目などがややはっきり見える(下画像)
※外形は等軸晶系の(2 1 1)の24面体だが,マグマから晶出後に約600℃以下で等軸晶系の外形を保ったまま正方晶系に対称度が下がり,その際,内部に複雑に交わる反復双晶構造が形成されていることが多い。


形態:自形の等軸晶系の(2 1 1)の24面体で,その断面が円みのある多角形に見える。そのほか粒状〜微粒状。なお,変質して外形を保ったまま,濁ったように見えるゼオライト・ネフェリン・カリウム長石などの微粒集合体(擬白榴石と呼ばれる)になっていることもある。

色・多色性:無色で,多色性なし。

双晶:
マグマから晶出後に約600℃以下で等軸晶系の外形を保ったまま正方晶系に対称度が下がり,その際,内部は複雑に交わる反復双晶構造が形成されていることが多い。

へき開:認められない。

消光角:定義されない

伸長:定義されない。

累帯構造:組成変化による累帯構造はほとんど認められないが,結晶中心付近に累帯状に微細な包有物を含むことがある。

産状

主に約100万年前以降のケイ酸に乏しく石英を含まない,Kに富むアルカリ火山岩中に産し,エジリン普通輝石・かんらん石・ウルボスピネルなどを伴う。イタリア・チェコ・アメリカ ワイオミング州などに主要な産地があるほかは顕著な産出はない。

一方,深成岩(閃長岩など)にはまれである。





アルカリ火山岩中の白榴石 Lc:白榴石,A:エジリン普通輝石
100万年前以降の若い時代のアルカリ火山岩中に見られるもので,平行ニコルでは自形の等軸晶系の(2 1 1)の24面体の断面が円みのある多角形に見える。マグマから晶出後に約600℃以下で等軸晶系の外形を保ったまま正方晶系に対称度が下がり,その際,内部は複雑に交わる反復双晶構造が形成されている(クロスニコル)
なお,この画像のエジリン普通輝石はややTiを含み,エジリン成分の緑色と混ざった濃いカーキ色で,多色性が強く,中央のものは平行ニコル下での色やクロスニコル下での干渉色により累帯構造が認められる。